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沖縄ジジ通信

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やぐじゃーま節 伊良皆高吉 投稿日:2015年03月25日 01:00
やぐじゃーま節

一、うさいぬ 泊ぬやぐじゃーま 作田節ば 詠(なが)みょうる

 【歌意】村番所(ウサイ)の泊に棲む「ヤグジャーマ」蟹が昔
      節の作田節を弾しているように見える

  ※村番所(ウサイ)の泊に棲む「ヤグジャーマ」蟹でも、作田節を弾けるぞ


二、うりが隣(とぅな)いぬ 白(しら)かちゃや うりに合しょてぃ
 三味線(さみしん)ばぴき 詠みょうる

 【歌意】そのお隣の(白かちゃ)(招潮子)も作田節を合奏しているように見えた

  ※その隣の白かちゃ蟹もそれに合わせて詠む(合唱)することができるぞ


三、生(ま)りる甲斐 産(しぃ)でぃる甲斐 がざみぬ中なんが
 子(ふぁ)ば産(な)し みやむな

 【歌意】蟹に生まれるくらいなら「ガザミ蟹」のような強者の中に強い子を生んでみたい
ものである

  ※蟹に生まれるなら「ガザミ蟹」(役人の血を引いた)(身分の高い)との間に生まれて
みたいものだが


四、うるじゅんぬ 若夏(ばがなちぃ)ぬ なるだら いざられぬ事 思(うむ)い
 
【歌意】陽春の若夏の頃になると 漁火のくるのが気がかりだ

  ※四、五
 陽春の若夏の頃になると 漁火がパチパチと音をたてて近づいてくるのが怖くて
生きた心地も失いかわいそうだ


五、うまゆ見りばん かまゆ見りばん 炬(たい)ぬ火(ぴぃ)や
 あからぱたらし 走(ぱ)りきいば

 【歌意】比処を見ても彼所を見ても 炬の火がぱちぱちと音をたてやってくるじゃないか
  

六、大爪(うふちぃみ)ゆ なが爪ゆ ぷちゅるぱたらし かかれぬ しんさ

 【歌意】この大事な「大ばさみ」が漁火人の足で無造作にぶっかかれる音と共に折れる
ときのつらさよ
  ※「ガザミ蟹」の大きなつめ(お前(役人)の自慢の大きな権力も)折られるぞ
   その時のつらさは可哀想だ


七、何(な)ゆ頼(たぬ)み いか頼むまばどぅ 我身(わどぅ)や 隠くさりる

 【歌意】「まぁ」何を頼ってか弱い身の安全を計ろうか

  ※いざとなると、己の弱い身を守る術を考えるだろうよ


八、大ちぃぶしぃ とぅんだぶしぃ 頼まばどぅ 我身(わどぅ)や 隠くさりる

 【歌意】「オヒル木」や「大葉ヒル木」等の呼吸根などを頼んでこそ身は安全だ

  ※ヒルギの根を頼むことで身の安全を守れる 我々ヤグジャーマと同じだよ


この歌(ヤグジャーマ節)は大史姓の作品だといわれており、一族内では祝祭日、正月、盆等、本家の長男と数名の関係者が唄三線を霊前に奉納して、祝に移る。尚、外部に知られないように気を配って行っている様子で…。

作田節とは、五穀豊穣、国のはじまり、音楽のはじまり、治国平天下、同胞親睦、長寿繁栄などすべて祝福すべき歌ばかりである。したがって、特権階級が歌う歌であった。

ヤグジャーマは蟹の名前で食されることがなく人間には全く相手にされない。
ガザミは蟹の名前で、美味で貴重な蟹である。(例:ノコギリガザミなど)

八重山民謡誌(喜舎場永珣著)より引用
※は私的の解釈である

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