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沖縄ジジ通信

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沖縄の文化や唄などについて、伊良皆髙吉師範のお話を掲載します。
ご質問も承ります。

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三線の心⑤ ~三線の心~ 伊良皆?吉 投稿日:2014年03月16日 14:43 [返信]
三線の心は和である。

《奏法の心得》
三線を引く時は、先ず第一絃(男絃)、第二絃(中絃)、第三絃(女絃)の調和を整えることが肝要です。そして以下のことに留意してください。
 1.奏者の右手と左手の拍子を合わせること
 2.三線の音と奏者の声の拍子・高低・強弱等との調和
         3.合奏の場合は他の奏者との調和、三線同士、箏・笛・太鼓等との調和
 4.聴衆と奏者との調和

《三線演奏の特性》
三線の楽譜(工工四)における歌曲の表記は、長短を拍子で表し、曲の速さを奏者の脈拍「脉」を以て定めています。音程に基準はなく、奏者の選択に委ねられています。
 西洋音楽における管弦楽団が指揮者の下に演奏が行われるのに対し、三線合奏の場合は指揮者はなく、各奏者が他の奏者に合わせることにより調和を生み出しています。

まるまぶんさん節 解説 伊良皆高吉 投稿日:2013年12月07日 23:04 [返信]
まるまぶんさん節

①まるまぶんさんゆなゆな見りば 風ぬ根を知ち居ちゅる白さい
【訳】まるまぶんさんを夕方ごとに見ていると
    風の方向を知って木に座っているシラサギよ

②あだて うふだてうかりに 下原 真山 浮道 成屋 船浮
【訳】あだてぃ うふだてぃ うかりに すんばれ
    まやま うきみつぃ なりや ふなうき(集落及地所の名称)

③祖納津口ぬ見しん木ぬ上に 魚ゆまつんで 居りるあたぐや
【訳】祖納津口に立ててある道標(みちしるべ)の木の上に
    魚を捕ろうとして座っているウミウ(海鵜)よ

④ぱなりみじゅ漕ぐ舟々見りば 声ゆならびて艫ぬ歌音
【訳】パナリミジュを漕ぎ渡る舟々を見れば
    声を揃えて櫂をこぐかけ声よ

 啉
エイヤラ ヤンザー サヱーヱイヤー ハリバ サヌシ
ヒヤ マッタン タムヌ ジュ

エイヤラ=掛声

ヤンザー=※この場に存在するもの達(まるまぶんさんをはじめ舟を
漕ぐ人々、登場する鳥達、村々、島々、親しいもの達を指す)

サ、ヱーヱイヤー=掛声

ハリバ=走れば(舟が)

サヌシ=サニシャ=嬉しい、楽しい

ヒヤ=※喜びを表す時の気合(掛声)

マッタン=マタン=更に=特に

タムヌ=焚物=薪(本場祖納村ではタムヌと歌っている。一般的にはタヌム=タノムと歌っているが疑問である。私は本場祖納の歌を解説した)

ジュウ=薪を割ったときバッサリ、パッと心地よく割れた時にジュウと音が聞こえる
     ※特に木目が素直なスタマ木や椎の木、タモの木等の生の若木の場合は格別である。
     ※幸いにして少年期に薪割で家計に役立ていた経験をもとに
      説明を加えると、木を根の方を上にして立てて、斧を振り
      下ろして当てた時一発でパサッ(ジュウ)と割れた時など
      例えようのない嬉しさを感じ、誇りに思う程愉快である。

 ※啉を集約すれば
   歓喜に満ちた掛声は島人達の勤勉さを表し、自然情景は島の
豊かさを表し、誇り高く謳い上げており、愛郷の心が伝わってくる

歌詞並びに訳については石垣金星著「西表島工工四」を引用、啉については参考にした。※は伊良皆髙吉の解釈

與那覇節 解説 伊良皆高吉 投稿日:2013年12月07日 22:52 [返信]
與那覇節(ユナファブシ)

①与那覇主ぬ御蔭ん ヤゥ スリヌ 主ぬ前ぬみぶぎん ヤゥ
【訳】与那覇在番(御役人様)のおかげで
    お役人様の御恩恵によって

②昔世ば給られ 神ぬ世ば給られ
【訳】豊年の世を恵まれた 神の世を給わった

③主ぬ前ば仰ぎ 百果報ど手ずる
【訳】与那覇在番(御役人様)を仰ぎ奉り
     百果報(多くの)をば合掌して(お祈りして)

※啉
ウネ シュウラーヨ

ウネ=ほら、どうですか
  =同意を求める時、または強調する時の言葉

シュウラーヨ=シュウラ=美しい、愛らしい、香しい、心地よい
            =素晴らしい
※非常に素晴らしい事だ、嬉しい事だ

喜舎場永珣著「八重山民謡誌」引用
※のみ伊良皆髙吉の解釈

ゆらてぃく節 解説 伊良皆高吉 投稿日:2013年12月07日 22:50 [返信]
ゆらてぃく節

①主ぬ前ば前なし 目差親ば中なし
【訳】与那覇御役人様を先頭にして 助役様は中にして

②上かい持ち祝(ゆわい)す 下かい持ち祝(ふくい)す
【訳】上の真謝村へ御案内して祝し
     また下の村白保村に御供して祝賀もする


 ユラティ ク ユラティ ク ブドゥリ アシバ
 ユラティ=寄って
 ク=来い=おいで
 ブドゥリ=踊って
アシバ=遊ぼう
※ユラティ=寄って、※寄り合って

喜舎場永珣著「八重山民謡誌」引用
※のみ伊良皆髙吉の解釈

三線の話④ ~三絃の役割と解釈~ 伊良皆高吉 投稿日:2013年11月24日 23:22 [返信]
三線の話④ 三絃の役割と解釈

沖縄県立博物館に所蔵されていた「三味線之説」という漢文資料がある。島尻勝太郎氏の補訳文の中から、今回は手と絃に焦点を当て、私(伊良皆)の解釈を織り交ぜながら紐解いてみよう。

・三線を弾く場合の奏者の手について
左手は上部(天)に位置し、治める立場の者、君主と意する。右手は下部(地)に位置し、治められる立場の者、民と意する。三線を奏でる場合、下部の右手が主導するのであって、上部の左手の役割は、右手の欲する音を発するために働くことにある。

(三線をお持ちなら、試してみてほしい。左手だけでは打ち音がかすかに聞こえるだけで、調べにはならない。一方、右手だけでも第一絃、第二絃、第三絃、各々の解放音が鳴り響きそれなりの演奏は可能である。)

・三本の絃の呼び方と役割
沖縄では、第一絃を男絃(ウージル)といい(君主等、治める者)を意する。第二絃を中絃(ナカジル)といい(役人等、実務に携わる者)を意す。第三絃を女絃(ミージル)といい(民等、治められる者)を意す。

・絃の奏で方
第一絃(男絃(ウージル))は人の上に立ち、国或いは社会を治める立場の者であるため、間違った音や濁った音を発することは許されない。常に正しい音、清々しい音を発することが求められる。第二絃(中絃(ナカジル))は実務に携わる者として、絶えず第一絃と第三絃に心を配る必要がある。特に、民に当る第三絃に対しては、労わりの心をもって弾くことが大切である。第三絃(女絃(ミージル))はやさしく弾くことによってより美しい音を発せられるのである。

これらを心に留めることにより、三線は美しい調べを奏でることが叶うのである。

しゅうら節 解説 伊良皆高吉 投稿日:2013年10月30日 22:35 [返信]
しゅうら節

①なうしゃる子(ふぁ)の どぅいきゃしゃる子(ふぁ)の どぅ我(ば)んぞなりくうでぃね
【訳】どんな女性の子が 如何なる器量の良い子が私の嫁になってくれるだろうか?

②島(すぃま)々ぬ村々ぬ 美(かい)しゃあすから
【訳】島々の美しい女性が 村々の選り抜きの女性が 器量の勝れた可愛い娘から

③美(かい)しゃあだでん白(しる)さあだでん いんどはだすゆる
【訳】どんな美人であっても如何に容姿が美しくあっても 縁があってこそ肌に添うことが出来る

①今日(きゆ)ぬひば 黄金(くがに)日ば本(むとぅ)ばし
※【訳】今日の日を黄金に値する素晴らしい基にして

②夜(ゆ)ぬ七日(なんか) ぴぬ百日(むむか)祝(ゆわ)いす
※【訳】夜は七日間、昼は百日間も祝いしよう

※囃子
エイ シュウラ ジャンナヨ

エイ→かけ声

シュウラ
 愛らしい、可愛らしい、美しい、丈夫にする、大きくする、かぐわしい、清々しい、上品、高貴な、清潔な、心地いい(例:耳に)=素晴らしい

ジャンナヨ
  めでたい(うれしい)事、うれしいことの様

引用資料:喜舎場永珣著「八重山民謡誌」

※の部分は伊良皆髙吉の解説


赤馬節 解説 伊良皆高吉 投稿日:2013年10月28日 22:53 [返信]
赤馬節

原歌 その1

①赤馬ぬいらすざ 足(あすぃ)四(ゆ)ちゃぬどぅきにゃす
【訳】赤馬の羨ましいことよ 足四ちゃ(赤馬の同義語)の冥加なことよ

②生(ま)りる甲斐赤馬 産(すぃ)でぃる甲斐足四ちゃ
【訳】生まれ甲斐ある赤馬よ 産(す)でる甲斐ある足四ちゃよ

③沖縄(うきな)主ん望(ぬず)まれ 主ぬ前(まい)ん見のされ
【訳】琉球王国に所望され 琉球藩主のお召し馬になった


原歌 その2

①いらさにしゃ今日(きゆ)ぬ日 どきさにしゃ黄金日(くがにひ)
【訳】ああ喜ばしや哉今日の日よ いとも嬉しい哉黄金の日よ

②我(ば)ん産(す)でぃる今日(きゆ)だら 羽(はに)むいるたきだら
【訳】私は生まれ変わったくらいうれしい今日の日を 羽が生えて飛び立つほど嬉しいのだ

※囃子 ハリヌヒヤルガヒ
 
  ハリヌ=晴れの、めでたい、喜ばしいこと
   喜ばしいことを表す

  ヒヤルガヒー=ピアンガル・ヒアンガル
    跳び上がって喜ぶ=非常に喜ぶ、喜びが大きいこと
    はね上がる

    ※たとえようのない大きな喜びである

引用資料:喜舎場永珣著「八重山民謡誌」

※の部分は伊良皆髙吉の解説

鷲ぬ鳥節 解説 伊良皆高吉 投稿日:2013年10月28日 22:50 [返信]
鷲ぬ鳥節

①大(うふ)あこうぬ根(に)ざすぃに 実(な)りあこうぬ本(むとぅ)ばいに
【訳】大あこうの根差(ねざし)に 実(なり)あこうの本延(もとばえ)に

②いつぃぬ枝ふん登(ぬぶ)り 七ぬ枝ふん登り
【訳】一つの枝を踏み登り 七つの枝を踏み登り

③一(ぴと)ぴらい巣ばかき 七ぴらい巣ばふい
【訳】一つの巣を構(くい)い 七つの巣を構(くい)い

④一ぴらい卵(くが)産(なし) 七ぴらい卵(くが)なし
【訳】一つの卵を産(な)し 七つの卵を産(な)し

⑤一ぴらい卵(くが)から 七ぴらい卵(くが)から
【訳】一つの卵から 七つの卵から

⑥綾羽ば生(ま)らしょうり びるぱにばすだしょうり
【訳】綾羽の鷲を孵した 綾なす羽の雛を孵化した

⑦正月(しょんがつ)ぬすぃとむでぃ 元日(ぐゎんにち)ぬ朝ぱな
【訳】正月早朝に 元旦の朝まだき

⑧東(あがろ)かい飛びつぃけ 太陽(てぃだ)ばかめ舞つぃけ
【訳】東の方に飛んでいった 旭の方に舞っていった

※囃子 バスィヌトゥルィ ヨーニ ガユナ バスィ
    綾羽で孵化した雛鷲の時代には大きな豊かな安寧な世代であってください

バスィヌトゥル
【訳】鷲の鳥→綾羽(ビル羽)で孵化した鷲の

ヨーニ
【訳】代に、世代は 

ガユナ
【訳】我世な大きな(豊かな・安寧な)世代であって下さい

バスィ
【訳】鷲

引用資料:喜舎場永珣著「八重山民謡誌」
※の部分は伊良皆髙吉の解説

桃里節 解説 伊良皆高吉 投稿日:2013年10月28日 22:49 [返信]
桃里節


①桃里てる島や 果報ぬ島やりば から嵩ば前なし うやき繁昌
【訳】桃里という村は果報の村であるから カラ岳を前にして豊かであり繁昌している


②から嵩に登ぶてぃ 押し下し見りば 稲粟ぬなうり さてぃむ見事
【訳】カラ岳に登って田畑の作物を見下ろすと 稲粟の豊穣なことは見事な稔りかたである


③ 赤よらぬ花や 三月どぅ咲ちゅる ばがけらぬ花や いつん咲ちゅさ
【訳】赤よぅらの花(デイゴの花)は2~3月頃真紅に咲くが 青春の花は四季を通して咲いている
(※赤よぅらの花(デイゴの花)は旧暦の3月頃に咲くが 我が村の乙女達は何時も花が咲いているように美しい)


④ 花ぬ色美らさ 桜花でむぬ 宮童ぬ美らさ 我島でむぬ
【訳】花の中で色が美しいのは桜花であるが 乙女の色艶の優れているのは桃里村の美童達だ


引用資料:喜舎場永珣著「八重山民謡誌」

※の部分は伊良皆髙吉の解説

繁昌節 解説 伊良皆高吉 投稿日:2013年10月28日 22:42 [返信]
繁昌節

①だんじゅ とぅゆまりる 崎枝ぬ島や ヨー ウネ
  黄金むるくさでぃ スリ 田ぶく前なし 
【訳】まことに名高き崎枝村は
   黄金の岡(もり)を後(くし)当て(あてぃ)にして田甫の団地(※田袋)を前にしている

②作てぃ 実らしゃる 稲刈る人や ヨー ウネ
   若者ぬまじり スリ さらばさらば
【訳】今年の稲作も豊穣なので稲刈る人は
   若者の全部で早刈り終わって別れ行く
(※精魂込めて稔(豊穣)らした稲を刈る人は村中の若者も
  全員揃って早刈り終えて帰り行く)

③崎枝女童や 水ゆいがやゆら ヨー ウネ
  色しがたうちゃてぃ スリ なだる美らさ
【訳】崎枝村の乙女達は水(軟水)が良い故だろうか
   色艶と容姿が釣合がとれ(良く似合い)
   なだらかに美しい(※いずれの乙女も皆美しい)

イヤマシ ウヤキハンジョウ
 マサルハンジョウ カツマタイヤマシ
※ハヤシ
  大家貴(ウヤキ)(金持ち=富裕なこと)繁昌し
  更に弥増(イヤマシ)(ますます豊かになる)


引用資料:喜舎場永珣著「八重山民謡誌」

※の部分は伊良皆髙吉の解説

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